『絶彩の園』
終焉を迎えた世界で、背徳は深まりそして拡がる。
私があなたを愛しているという事は、この上なくシンプルな事なのに、それがあなたに伝わらない。
「愛してる」
そう告げてもあなたはいつも笑うだけ。
「私もよ」
そう返して欲しいわけじゃないけど、あなたはただ笑うだけ。
だから私は不安になる。
あなたの愛を信じてはいるけれど、私の愛があなたには伝わっていないのではないかと不安になる。
「ねぇ」
だから私はあなたを抱きしめる。
「愛してる」
そう言ってあなたを求める。
あなたはいつも笑う、その笑顔の意味を私は知らない。
私は壊れそうな心で、あなたに届くようにと願う。
そうして今日もあなたと身体を重ねる。
愛していると言うために抱く。
愛していると言えないから抱きしめるために抱く。
ここは壁に囲まれた退廃の園、帰る場所はもう何処にもない。