還暦熟女看護師との院内不倫
俺の名前は小川康太。年齢は36歳で既婚。病院で事務職をしている。
その日、朝礼を終えて廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。
「おはようございます」
足を止めて振り返ると女性看護師がいた。
園原香代さんだ。パートタイムで勤務しており、夜のシフトに入ることが多い。
今日も夜勤明けだろうか。疲れを感じさせない笑顔は、俺より一回り以上は年上のはずだが若々しかった。
「おはようございます。園原さんはお仕事上がりですか?」
「ええ、お疲れさまでした」そう言うと彼女は微笑み会釈する。
事務方の俺が現場の看護師と関わる機会は多くない。しかし園原さんとは、この病院で働き始めた時期が近いこと、何度か勤務時間の変更などの相談に乗っていたこともあり、院内では数少ない雑談を交わす間柄の看護師だった。
「小川さん、実はちょっと相談があるんですけど」
彼女は思い出したようにそう言うと、内緒話をするように俺との距離を一歩詰めた。
俺は自然と小柄な彼女に合わせて少し腰をかがめる。
「来月から勤務時間を長くする件についてなんですが、一カ月ほど延期したいんです。ちょっと色々あったので、少し休みたくて」
「そうなんですね、大丈夫だと思いますよ。僕からも上長に話を通しておきますので、園原さんからも看護師長にお話ししておいてください」
「ごめんなさいね、迷惑かけて、色々あって疲れちゃって」
先程から「色々あって」と繰り返すので、俺は気になり会話を続ける。
「迷惑だなんてとんでもない。園原さんに勤務時間を延ばしていただいて助かります」
「ありがとう、もう私も年だから色々あって疲れちゃってね」
「そんな、まだお若いじゃないですか」
俺はお世辞ではなく本気でそう言ったので彼女の次の言葉にとても驚いた。
「もう六十代だし、こんな年齢でもお仕事で求められるのは嬉しいわ」
えっ、と思わず声に出していた。驚く俺に園原さんはさらに顔を近づけて、こっそり秘密を打ち明けるように年齢を教えてくれた。
「そうなんですね、全然そんな風に見えませんでした」
「ええ、そう?」彼女はくすくす笑っている。
「そうですよ、あまり言うとセクハラになりそうだから、言えませんけど……」
俺の台詞がおかしかったのか、彼女は「もう、こんなおばあちゃんにセクハラなんて」とさらに笑う。
「女性をその気にさせるのが上手いのねえ、でもここでキスしてって言われたら本当は嫌でしょう?」
俺は誰が通るとも知れない廊下で話していることを気にしながら「廊下ですから困りますけど、キスをするのは全然イヤじゃないですよ」と答えた。
「本当かしら? じゃあ、ちょっとこっちに来てよ」
そう言うと園原さんは俺の手を引き物陰へと歩いていく。
「本当に嫌じゃないなら、ここでキスできるでしょ?」
彼女は耳元で囁くようにそんなことを言う。
彼女はもしかすると、俺をからかっているだけなのかもしれない。
一回り以上も年が離れているのだ。生意気にも若造がお世辞を言っただけだと思っていたのかもしれない。
しかし俺は本気だったので、彼女の唇に自分の唇を重ねた。
園原さんは一瞬驚いたようだったが「んっ」と喉を鳴らすと俺の腰に腕を回して舌を絡めてきた。
俺も彼女の身体に片腕を回し、空いた手でナース服の上から彼女の胸を膨らみを触る。彼女と俺の舌が絡まるぴちゃぴちゃとした音だけがやけに大きく聞こえた。
どれだけそうしていただろうか、廊下の向こうから話し声が近づいてくるのが聞こえて、俺と園原さんは身体を離した。
「小川さんって真面目そうに見えて、意外といけない人なのね」
そう言って笑う園原さんは、はっとするほど色気に満ちていた。
「わたし色々あって疲れちゃったから少しお休みするけど、気分転換も必要だと思うから、小川さん、相談に乗ってね」
園原さんは女の顔でそう言った。
〇
園原さんとのキスから一週間後、俺は彼女に誘われて夕食を共にしていた。
個室のある和食の店で「相談」などと言われたので身構えたが、どうやら彼女はただ俺を誘いたかっただけのようだ。彼女がお酒を注文し「乾杯しましょう」と言ってきたので俺も口をつける。
料理とお酒と雑談を楽しみ食事もあらかた終わった頃、ふと会話が途切れた。
お互いの目を見ながら俺は聞くか聞くまいか迷ったが、結局好奇心に負けて聞いてしまうことにした。
「そういえば……「相談」の件ですけど、色々あったって何があったんですか?」
彼女は少し驚いたような表情を浮かべたが、すぐに「もう、小川さんたら」と呆れたように言うと、コップに口をつけた。
確かに率直な質問すぎたかもしれない。俺は恥ずかしくなり頭をかいた。
「あれね、ちょっと色々あったの」そう言って園原さんはふふふと笑う。
「その色々ってなんですか?」
「うーん……話してもいいのかしら……でも小川さんなら誰かに広めたりしないと思うから大丈夫か」
彼女は少し悩む様子を見せたが、やがてあの廊下での情事を思い起こさせるような女の表情になると告げた。
「私ね、付き合っている男性がいたんだけど、その男と別れたのよ」
俺は驚いてしばらく言葉が出なかった。彼女は確か結婚していたはずだ。
「それは……ご主人と離婚した、という意味じゃないですよね?」
俺がそう言うと彼女は一瞬きょとんとした後で、声を上げて笑った。
「そんなわけないでしょう、旦那ともまだ仲良くやってるわ。はっきり言わないとわからない? 不倫してたの」
彼女は少し酔っているのか、頬がほんのりと染まり艶やかだ。
「不倫って……大丈夫なんですか?」
「もう、大丈夫なわけないじゃない、でもあなたがそれを言うの?」彼女は色っぽく笑って言う。
俺は言葉が出ない。改めて言われてみれば確かにそうなのかもしれない。彼女から食事に誘われて、俺に下心がなかったとは言えないのだから。
黙っている俺に園原さんはさらに続ける。
「それでね、私、疲れちゃったからしばらくお休みすることにしたの」
「……そうなんですね、納得しました」
俺はそう答えるのが精一杯だった。
「それで小川さんは相談に乗ってくれるのかしら。小川さんなら私を潤してくれるんじゃないかと期待してるんだけど」
そう言って彼女は俺の顔にゆっくりと顔を寄せると唇を重ねた。
柔らかい舌が唇が触れてくる感触が心地よくて、何か考えるよりもまずその感触を味わってしまう。
まつげの本数が数えられそうなほどの至近距離で唇を重ねていると、俺は段々と彼女に惹き込まれていくのを感じた。
彼女の細い指先は俺の太ももに乗せられ、そこから俺の内股を優しくなでたり軽くつかんだりしている。俺はその手を捕まえて強く握り、彼女の身体を引き寄せた。
「期待に沿えるかどうかはわかりませんけど、お手伝いさせてください」
「……嬉しい」
園原さんはそう言って蕩けるような笑みを浮かべると俺にしなだれかかった。
俺は彼女の首筋に顔を埋めながら片手でワンピースのボタンを外していく。
「いやだわ、こんなところで……」
彼女は口ではそう言いながらも抵抗はせず、むしろ脱がせやすいように身体を動かしてすらいる。上半身をはだけて下着姿にすると、彼女の身体は想像していたよりも肉感的だった。ブラの上から乳房に触れると手の平に彼女の体温と柔らかな感触が伝わってくる。
「んっ……」
園原さんが小さく声を上げ、その声が俺の興奮を刺激した。
ブラ越しでも柔らかさがわかる大きな乳房を揉みしだき、俺の手の動きに合わせて自在に形を変える胸を堪能する。
「あぁ……いいわぁ」
彼女は切なげに眉を寄せて身をよじると、俺の手から逃れようとするかのように身体を離そうとする。俺は逃すまいと彼女の背中に腕を回して強く引き寄せると、今度はブラの中に手を入れて直接乳房を揉んだ。
「あぁん……だめ」
園原さんは弱々しく首を振るが、本気で嫌がっているわけではないことはわかっていた。
「ダメじゃないでしょう? こんなにして」
俺はわざと意地悪く言うと、彼女の乳首を軽くつまむ。
「はぁんっ!」
どうやらここが弱いらしい。彼女が大きく身体を震わせた。
俺はさらに彼女を追い詰めようと、乳首を指先で転がすようにしたり軽くはじいたりしながら、乳房を揉みしだいた。彼女はそのたびに身体をビクビクと震わせて声を上げる。
「やっ……あっ! だめぇ」
園原さんの甘い喘ぎ声に誘われるようにワンピースの裾をまくり上げると白い太ももが露わになった。ストッキングの股間部分には大きな染みができており彼女が欲情していることが知れた。
「園原さん……綺麗です」
俺が耳元で囁くように言うと彼女は恥ずかしそうに顔を背けた。
「そんな……恥ずかしいわ……」
俺は構わず彼女の首筋や鎖骨にキスをする。彼女の肌は白く柔らかくとても触り心地がいい。香水をつけているのだろうか、甘い花の香りがする。唇を這わせていると次第に肌が赤く染まってくるのがわかった。
「んっ……あぁん」
園原さんが切なげに眉を寄せて身をよじる。彼女のスカートの中に手を入れて、ストッキング越しに熱く湿っている股間を刺激した。
「ああぁっ、そこっ……だめぇっ」
彼女が身体を弓なりに反らせてビクビクと痙攣する。どうやら軽く達してしまったらしい。
個室とはいえ飲食店内でこれ以上の行為に及ぶのは止めた方がよさそうだ。力が抜けたように俺に寄りかかってくる園原さんを優しく抱きとめた。
「あぁ……小川さん、キスして……」
肩で息をしながら甘える園原さんの、その吐息の熱さに俺の興奮も高まる。
彼女の唇を奪い舌を絡ませ唾液を交換すると、彼女は喉を鳴らしてそれを飲み込んだ。
「んっ……んむぅ……くちゅ」
そのまましばらく唇を重ねていたが、やがてどちらからともなく顔を離すと園原さんが俺の唇に指をあてる。
見つめ合う彼女の瞳は潤んでおり、どこかうっとりしているように見えた。
「……はぁ……ね? やっぱり小川さんなら絶対私のこと癒してくれるって思ったの」
園原さんはそう言って妖艶に微笑むと、熱っぽいため息を吐いた。
(終)