笑顔が可愛くておっぱいが大きな女教師に一目惚れした学生時代(1)

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 学生の頃、僕は教師と付き合っていた。
 付き合ってもらっていた、と書く方が正確かもしれない。

 彼女は古文教師だった。
 年齢こそ20代で若かったが、お世辞にも美人ではない。
 だが、身長は低いのに胸が大きくて、声も可愛らしくて愛嬌があったので、そこそこ男子からの人気はあったと思う。
 本人も「女は愛嬌だよ」と自ら言っていたので、少なくとも彼女自身が経験上そう判断するくらいには、男性との経験もあったのだろう。

 同級生よりも遥かに成熟した体や、甘く高い声はどこまでも女性的で、僕の雄の部分を単純かつ明快に刺激した。
 普通に考えれば、10歳近くも年の離れた女性に欲情するのはおかしいのかもしれないけれど、それは写実的でもない成人向け漫画やイラストを見て欲情するのと似たようなものだと思う。現実の女性の、ある特定の要素を抽出して過大に表現した刺激に、男性の脳は簡単に騙されてしまう。おそらく彼女の過度に女性らしい部分が、若く未熟だった僕の理性を騙して本能にまで刺さったのだろう。

 そういうわけで、僕は彼女が顧問を務めるバスケットボール部に入部した。
 平均的な身長にすぎない僕に向いているスポーツとは言い難かったが、強くも厳しくもない部活だったので問題なかった。そもそもバスケはおまけで、僕の本命は彼女だ。

 僕は自分の所属したバスケ部と近隣の高校とで、どんぐりの背比べをしていたに過ぎないので詳しくはないが、うちのバスケ部の人数は少ない方だった思う。
 各学年に三名ずつの計九名。紅白戦すらできないが、おかげさまで三年生が引退した後は、一年生でもレギュラーになることができた。
 公式戦では負け試合の方が多かったし、それで別に落ち込みもしなかったが、試合後に学校の体育館に戻り一人きりでボールを拭いていたら、いつの間にか学校に戻って来ていたらしい彼女に、背後から抱きしめられたのはいい思い出だ。

 バスケットボール部の人数が少なかったことを考えると、彼女の女性としての魅力に脳を焼かれた男子生徒は、そんなに多くなかったのかもしれない。彼女にもっと人気があれば、僕のような彼女目当ての入部希望者がもっといたはずだからだ。
 その上で、多少自惚れるとしたら、僕と彼女はお互いに好みのタイプで、惹かれるべくして惹かれあったのかもしれない。

 部活動に限らず、学生生活のちょっとした場面で彼女と二人きりになると、微妙な雰囲気になることが増えた。
 気まずさと恥ずかしさと、ためらいと愛おしさと、不安と幸福が一緒になったような時間と空間だ。

 教師と学生で付き合うなんてできない、でも相手から告白されたら断ることはできないだろう、僕も彼女も言葉にこそしなかったが、お互いに同じ気持ちだったと思う。
 そんなときは何となく話すのもためらわれて、意味もなく手に触れあったり指と指を絡めたりした。

 そんなだから、どちらから告白したかも定かではないし、なんなら告白そのものがなかったような気もする。
 僕たちはいつしかキスをするようになり、その場所は頬から唇になり、重ねるだけだったキスが舌を絡め合うものになり、お互いの体を撫でていた両手は、やがて性器に触れ合うことをためらわなくなり、出会ってから二度目の夏に僕たちはセックスをした。

◆◆◆

「生でしていいよ」

 初めての夜に彼女は言った。
 僕は避妊具の付け方を知らないほど無知ではなかったが、僕が知っているということを彼女が知っているかどうかは解らなかった。

「いや、でも……」と口ごもる僕に、彼女は笑って言った。

「大丈夫だって」

 何が大丈夫なのかは今でも分からないが、とにかく彼女はそう言って笑った。

「初めてだよね? それならなおさら、私をちゃんと感じて欲しいから」

 そして僕は彼女の笑顔に促されるまま、初めて女性の中に侵入した。
 そこは想像していたよりも遙かに温かくて柔らかくて心地よかったが、想像していたよりも複雑で思い通りにいかず、僕は緊張もあってなかなか達することができなかった。

「焦らなくていいの、ゆっくりでいいから」

 そんな情けない僕を彼女は優しく受け入れ最後まで導いてくれた。
 彼女の裸は卑猥だった。乳首にも性器にも現実の女性がもつ醜さと生々しさがあった。
 体つきや肌の質感には、成熟した女性しか持ち得ない色気があり、その発情した肉体をグロテスクな男根が貫いているのが、どこまでも現実的な行為で、だからこそ非現実的な倒錯感があった。

 腰を動かすたびに乳房が揺れる様や、目を閉じて快感に喘ぐ表情は、それまで僕が見たことのない彼女だった。それは特別な関係になった男だけが見ることのできる表情であり、僕は射精を必死に耐えながら、そんな彼女に見惚れた。

「気持ちいいよ」と彼女は言った。
「私もすごくいい」と彼女は訴えた。
 そして僕たちは一緒に果てた。

 中に精液を吐き出すのは、生まれて初めての経験だったが、彼女はそれを優しく受け止めてくれた。

「これで私は君のもの」

 行為の後、彼女はそう言って僕の髪を撫でた。
 大人の女性に自分が抱かれているという感覚に僕は一瞬気後れしたが、その余裕のある彼女の振る舞いに逆に甘えるような気持ちになり、僕はしばらく彼女の胸に顔をうずめていた。

 結局、それからも勃起が回復する度に彼女の中に入れさせてもらい、3度ほど果てた。
 最後の方ともなると彼女の中が気持ちよすぎて、出るものがなくなってもずっと彼女の中に入れていた。

「私とこういうことするの、嫌じゃなかった?」
 僕の頭を抱き抱えながら少し心配そうに彼女は聞いたが、おっぱいに顔をうめたまま「よかったです」ともごもご答えると「そっか」と言って嬉しそうに笑った。

 夏休みに入ると、彼女とは頻繁に逢瀬を重ねた。
 とはいえ互いの家に軽率に通えるような立場と関係でもなかったので、図書館や公園などで待ち合わせをした。彼女の車でドライブに行ったり、彼女の部屋で勉強をしたりした。

「10歳近くも年下だと、可愛いんだけど時々妙に男っぽくてドキッとするよ」と彼女は言った。
 確かに僕は彼女の前では、いつも背伸びをしていたような気がする。

 真夏のうだるような暑さの中、僕たちは互いを貪りあった。
 体液を交換し合うセックスに耽溺し、そのたびに僕たちの繋がりはより深く強くなっていくような気がしていた。
 当時の僕には、それが肉体的な充足感なのか精神的な満足感なのか、冷静に切り分けることができなかった。

 それでも、その夏に僕たちは、身も心も深く結ばれたのだと思う。だからこそ、それから起きる様々な出来事を一緒に乗り越えることができたのだ。

 彼女の中で果てた後、僕は彼女の優しい腕に包まれてまどろんでいた。
「先生」と僕は言った。
「僕たち付き合ってるんだよね?」

 彼女は僕の頭を撫でながら言った。
「うん、そうだよ」

「じゃあさ、その……名前で呼んでもいい? 先生のこと」

 彼女は一瞬きょとんとした顔をしたが、すぐに微笑んで頷いた。「いいよ。じゃあ、悠。……悠は私のことをなんて呼んでくれるの?」

「……美奈子って」

「ふふ、いいね。可愛いじゃん」

「じゃあ、美奈子。……好きだよ」
 彼女は僕の頭を優しく撫でながら言った。
「うん、私も好き」
 僕は彼女の胸に顔をうめて、その柔らかさと温かさに身を委ねた。


(続く)