取引先で再会した人妻職員との背徳関係(2)
彼女とはそれからも頻繁に事業所で顔を合わせた。
俺が訪問するたびに彼女は嬉しそうに近寄ってきたが、彼女と親しくなるほど彼女の夫のことが気になっていた。それは、どんな男性なんだろう、という意味でもあるし、ここ最近、俺と神谷さんとの距離は近すぎるのではないか、という危惧でもあった。
このままではそのうち間違いを犯してしまいそうだ。そんなことを考えていたら、その機会はすぐに訪れた。
◆◆◆
その日、俺は残業を終えて会社を出た。
外は暗くて寒い。少し雨も降っていた。急ぎ足で駅に向かうと神谷さんの姿を見つけた。
彼女は俺を見つけると「安田さん!」と言って駆け寄ってきたが、俺はその姿を見て思わずぎょっとしてしまった。彼女の服が雨で濡れていたからだ。しかもブラウス越しに下着が透けて見えている。
「どうしたんですか?」と俺は聞いた。
すると彼女は「傘がなくて困ってたんです」と少し恥ずかしそうに言った。
予想通りの答えだったが、それにしてもこの寒い中、傘も差さずに歩くのは無謀すぎるだろう。俺は自分のコートを脱ぐと彼女に羽織らせた。
「え? 悪いですよ」と彼女は遠慮したが、「風邪引いちゃいますよ。とにかく着てください」と言って俺は強引にそれを羽織らせて自分の傘の中に彼女を入れた。
神谷さんはしぶしぶという感じでコートに袖を通した。「暖かいです……」そう言って彼女は微笑んだが、それはそうだろう。俺はすこし鼻をすすった。
「駅まで一緒に行きましょうか?」
俺がそう提案すると、彼女は少し迷った様子を見せたが、結局小さく頷いた。
「でも……安田さん寒くないですか?」と神谷さんが言ったので俺は「まあ、寒いですけど」と答える。
「じゃあ、こうしましょう」と言って彼女は俺に腕を絡めるとぴたりと寄り添った。柔らかい胸が腕に触れる感触に俺はどぎまぎとしたが、それ以上に彼女の身体の冷たさに驚いた。思わず「体すごく冷えてるじゃないですか、大丈夫ですか?」と俺が聞くと、彼女は小さな声で「寒いです」と言った。
どうしたものかと考え歩いていると、彼女は「安田さんって優しいんですね」と言って嬉しそうに微笑んだ。そして俺のコートのポケットに手を入れると、その中にあった俺の手をぎゅっと握った。
「ちょっと……神谷さん?」俺が驚いて声をかけると神谷さんはにっこり笑った。
「わたし、冷え性なんです」そう言って笑う彼女の表情は普段よりも幼く、なんだかとても魅力的に見えて、俺は一瞬自分の置かれた状況を忘れてしまった。
彼女は俺の手を握ったまましばらく歩いたが、急に立ち止まると俺の手を引いた。
「ちょっと寄り道していきませんか?」と彼女が言ったので、俺が「いいですよ」と答えると神谷さんは嬉しそうに笑った。
そして彼女は通りから離れたラブホテルを指さした。
「わたし、あそこに入りたいです」
◆◆◆
どうしてこうなったのか、正直なところよくわからない。
だが俺は神谷さんとホテルに入った。彼女はあまりにも積極的だった。積極的なのはいいのだが、正直俺の想像を超えていた。
「ちょっと……神谷さん、少し落ち着いて」俺がそう言っても彼女は聞く耳を持たず、それどころか俺に飛びかかってきて俺の股間に手を伸ばそうとする始末だ。
彼女の積極性に内心困惑しつつ、俺は彼女をベッドに押し倒した。彼女に口づけをすると、嫌がるどころか積極的に舌を絡めてくる。濡れている彼女のブラウスを見たときに察しはついていたが、彼女の下着はひどく扇情的なものだった。本来隠されているべきはずの乳首や膣の部分が露出している。
「ねえ安田さん……わたしのこと抱いてください……」と神谷さんが言った。
俺もそこまで言われたら男として引くわけにはいかず、彼女の胸を揉んでみたが、彼女は嫌がる素振りは見せず、それどころか「もっと強くしてください……」と甘えた声で言ってくる。
俺は言われるがままに彼女の胸を強く揉みしだき、その先端を指でつまんで刺激した。すると彼女は甘い声を上げながら腰をくねらせた。
「ねえ安田さん……わたしもう我慢できません……」と言うので俺は彼女の下着を剥ぎ取ると彼女の股間に指を這わせた。彼女は「あっ……」と小さな声を上げる。彼女のそこは、もうすっかり濡れていた。
「安田さん、わたしもう我慢できないんです……早く入れてください」
俺はズボンのファスナーを下ろし、下着を下ろすと自分のモノを取り出した。
「じゃあ入れますよ」俺がそう言うと神谷さんはこくりと頷いたので、俺はゆっくりと挿入した。
彼女は「ああっ……」と小さく声を上げたが、それでも抵抗することなく俺を受け入れてくれた。そして奥まで入ったところで俺は動きを止めた。
神谷さんは少し物足りなそうな顔をしていたが、俺が動かずにいると自分から腰を動かし始めた。
「安田さんも……動いてください」という彼女の言葉に従い俺は腰を動かし始めた。
最初はゆっくりだったが次第にペースを上げていく。彼女はその度に「あっ……あっ……」と声を上げたが、それでもまだ物足りないといった様子だった。
「もっと強くしてください……」と言うので俺はさらに激しく動いた。
すると彼女は一際大きな声を上げて身体を痙攣させたかと思うとぐったりとしてしまった。どうやら絶頂を迎えたらしい。
「安田さん……わたしまだ満足できないんです……」
そう言って彼女は起き上がると今度は騎乗位の体勢になり自分で動き始めた。
彼女の腰の動きに合わせて胸が揺れるのを眺めながら俺は快感を溺れた。
しばらくすると、また彼女に絶頂が訪れたようだったが、それでも彼女は動きを止めようとしなかった。やがて俺の方にも限界が訪れそうになると、それを察した彼女が突然倒れ込んできた。
「ああっ……わたしまたイキそうです……」
俺は慌てて彼女の中から引き抜いて射精する。
神谷さんは少し不満そうな表情を浮かべたが、すぐに笑顔を浮かべて言った。
「次はもっと時間をかけて気持ちよくなりましょうね」そして彼女は俺の胸に顔を埋めて舌を這わせるのだった。
◆◆◆
それからというもの俺は神谷さんとの関係は変わった。会社ではいつも通り接していたが、人目のないところでは恋人同士のような関係になっていた。
何度目かの逢瀬の後のことだった。いつものようにホテルでセックスを終えた後、俺たちはベッドの中で裸のまま抱き合っていた。すると不意に彼女が言ったのだ。
「安田さん……わたしたち付き合ってみませんか?」
突然の言葉に俺は驚いて彼女の顔を見つめた。冗談を言っているようではなかった。
「どうしてですか?」と俺が聞くと彼女は答えた。
「安田さん……わたしのこと嫌いですか?」俺は慌てて首を横に振る。
「じゃあ好きなんですか?」と聞かれ、俺は返答に困ったが、正直に言うことにした。
「……好きですよ」答えると彼女は嬉しそうに微笑んだ。そして俺にキスしてきたかと思うとそのまま舌を入れてきた。しばらくそうした後で口を離すと彼女は言った。
「よかった……わたしずっと安田さんのこと好きだったんです」
それを聞いて俺はますます困惑した。どう考えても本気で言ってるようには見えない。それはとても表面的な愛の言葉だった。
「でも神谷さん、結婚されてるじゃないですか」
そう言うと彼女はにっこりと笑って言った。
「いいんです。それでも好きなんです」そして彼女はもう一度キスをした。
俺の下半身に手を伸ばし、優しく撫でたり揉んだりし始める。俺はその感触に再び興奮し始めていたが、彼女はそこで手を止めると俺のモノを口に含んだ。
舌を使って丹念に舐め上げてくるので俺はすぐに限界を迎えそうになったが、そこでまたも彼女が口を離してしまった。
「ねえ安田さん……わたし、旦那ともうずっとセックスしてないんです」
「え?」
「だって全然気持ち良くないんですもん。だからエッチな下着を着て街でナンパ待ちみたいなことをしてみたり、でもすごく虚しくて気持ちいいのもそのときだけで、でも安田さんとエッチするとすごく感じちゃうし、胸の奥がぽかぽか暖かくなってずっと残るんです」
そう言うと彼女はもう一度俺のモノを口に含んだ。今度はさっきよりも激しく舌を動かしている。俺はもう我慢できなくなってしまい、彼女に「そろそろいいですか?」と言うと彼女は口を離してこくりと頷いた。
ベッドの上に仰向けになった彼女の上に覆い被さると俺は一気に挿入した。その瞬間、彼女が大きな声を上げたが構わず動き始めた。彼女の中はとても温かく柔らかく俺を包み込んでくる。その快感に溺れそうになりながらも俺は懸命に腰を振り続けた。
やがて限界が訪れ俺は彼女の中に思い切り射精する。彼女も絶頂を迎えたようで身体を痙攣させながら俺の背中にしがみついてきた。しばらく繋がったまま余韻に浸っていたが、やがて彼女が口を開くと言った。
「ねえ安田さん……わたしたち本当に付き合っちゃいましょうか?」
「……本気ですか?」俺が聞くと彼女は頷いた。
「ええ、本気です」そう言って微笑む彼女の表情は無邪気そのもので、俺は思わず見惚れてしまった。そうして俺たちは不倫の関係にのめり込んでいくことになるのだった。
(続く)