オンライン読書サロンの熟女(1)

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 俺の名前は恭介。唯一の楽しみは、読書とオンライン読書サロンでの交流だ。
 最近はそこで知り合った深月さんという女性と親しくしている。彼女の好きな作家やジャンルは、年の離れた俺の兄と同じくらいの世代のものだった。俺は彼女の書く書評やレビューに懐かしさを感じてメッセージを送り、深月さんも俺に興味を持ってくれたのか好意的な返事をくれた。それからメッセージアプリのIDを交換する仲になり、今ではSNS以外でも個人的にやり取りをしている。

 会社の休憩時間、俺は今日も深月さんとのチャットを楽しみながら昼食を食べていた。
 メッセージアプリを通じて俺たちはお互いの日常を共有し、個人的な話題にも触れるようになっていた。
 例えば深月さんは神奈川に住む40代のシングルマザーらしい。日本史や中国史が好きで、娘がいるそうだが、彼女の送ってくれた日常の写真を見る限り、とてもそうは見えない。色白で小柄だが落ち着いた表情と程よく柔らかそうな身体は、熟女の色気と少女の可愛らしさが同居していると思う。

『おすすめの場所といえば鎌倉ですかね~』
 深月さんは俺が送った質問にそう答えてくれた。俺は近々出張で神奈川に行くことになっている。そこで深月さんにお勧めの観光地を訊ねたのだ。
『ありがとうございます。鎌倉ですか、行ったことないから楽しみです』
『でも恭介さんみたいに若い人だと、横浜の方が楽しいかも』
 深月さんはそう書くと、続けて(しょぼん)と膝を抱えているスタンプを送ってきた。
『そんなことないですよ、深月さんに相談して良かったです。神奈川は魅力的な観光地が多くて今から出張が楽しみです』
『ちゃんと仕事しないとダメですよ~』今度は(こら!)と叱るスタンプを送ってくる。

 そんなふうに楽しくやり取りをしていた流れで、俺はつい、
『深月さんが案内してくれたら最高なんですけどね』と送ってしまった。さすがに失言だったかなと反省し謝ろうとしたが、
『それはいい考えですね。お仕事を頑張るご褒美に案内してあげます』と深月さんから返事があった。
 俺はすぐに『本当ですか。お仕事がんばります!』と返信する。
 これは神奈川出張の楽しみが増えた。俺は深月さんに休憩を終えて仕事に戻る旨を伝えると、張り切って仕事を片付けるべく励むのだった。

◆◆◆

 それから数日後、俺は神奈川での仕事を自分史上最高の段取りで片づけると、深月さんに連絡をし待ち合わせ場所のカフェで彼女を待っていた。
「こんにちは、恭介さんですか?」
 そう言って声をかけてきたのは、写真そのままの深月さんだった。
「深月さんですよね、こんにちは。いつもやり取りしてますけど、こうして実際に会うと感動します」
「そういう時は普通、初めて会うけどそんな気がしない、とか言うんじゃないですか?」
 深月さんはくすくすと笑いながら俺の前の席に座った。

 深月さんは綺麗だった。彼女の笑顔は陽だまりのようで、俺はこの出会いに感謝した。
 俺たちはカフェを後にすると、深月さんが選んだ観光スポットを巡りながら、これまでメッセージアプリでは伝えきれなかった想いを語り合った。こうして実際に会って話すと、ふたりの間に、聞きたいことや話したいことが自然と溢れてくる。並んで歩く俺と彼女の距離は時間が経つれて、知人から友人、友人から恋人のように自然と縮まっていった。

 夕暮れ時、二人で海岸を歩きながら、俺はぼんやりと二人の関係について考えていた。
 俺は深月さんにとって、ただの友人以上の何かになりたいのかもしれない。深月さんはどう考えているのだろう。夕焼けに照らされる彼女の表情からは何も読み取ることができない。
「今日は楽しかったなあ……恭介さん、ありがとうございました」
 彼女は静かにそう言って俺を正面から見た。すると俺はまるで最初からそうなることが決まっていたかのように、自然に彼女の身体を引き寄せると、深月さんの唇に自らの唇を重ねた。彼女も抵抗することなく静かに俺を受け入れていた。

 どれだけそうしていただろう。深月さんは唇を離すと
「ご褒美になるかわかりませんけど、もう一か所だけ案内してもいいですか」と、まるで赤くなった顔を隠すように、俺の胸に顔を埋めながら言った。

◆◆◆

 俺と深月さんはホテルの一室にいた。
 暗い室内に彼女の白い肌が、淫らに、蠱惑的に、浮かんでいる。
「もうそんなに大きくしてくれて……嬉しい」
 先程までの清楚で恥ずかしがりな彼女とは違う。その視線は俺の身体を舐め回すようだ。
 深月さんはうっとりとした表情で呟くと、俺の背中に腕を回し、両手を首から頬へと滑らせ、自らの唇をそっと重ねてきた。俺たちは互いの身体を抱き寄せながら熱いキスを交わし続けた。

 そうしてひとしきり口付けを交わすと、自ら身にまとっていた下着を剝ぎ取っていく。彼女は一糸まとわぬ姿になるとベッドに向かい、俺をじっと見つめて「恭介くんが服を脱ぐの、見せて」と言った。
 俺は深月さんの言葉と視線に逆らえない。まるで彼女の言葉に操られるように服を脱いでいった。そして互いに一糸まとわぬ姿になると、俺たちは再び身体を寄せ合い、舌を絡ませながらお互いの性器を弄り合った。

「あ……んっ、恭介くん、いい……ねえ恭介くん、もっと」深月さんは息を荒らげながら悶えた。彼女の吐息が熱い。
 俺はたまらなくなって彼女の身体を押し倒した。そして新雪のような深月さんの肌に舌を這わせていく。彼女は俺の舌の動きに合わせて身体をくねらせている。俺はその美しい肢体に見惚れながら、彼女の秘所を指で刺激した。

「ああっ、恭介くん……激しいよ」深月さんは身体を反らし、快感を堪えている。
 俺は彼女の乳房にしゃぶりついた。その瞬間、彼女がびくんと身体を震わせた。そして彼女は切なげな声で「もうだめ……我慢できない」と言った。
 もう我慢できないのは俺も同感だった。彼女の両足を大きく開かせながら、自らの男根を彼女の秘所にあてがう。そしてゆっくりと腰を沈めていく。深月さんは俺を受け入れながら大きく喘ぐ。

「ああっ、恭介くん……んんっ」
 彼女の声を聴きながら、俺はそのまま奥まで突き入れる。俺たちは互いに求め合うように抱き合い、やがて絶頂を迎えた。
「深月さん……」俺が耳元でささやくと、彼女は小さくうなずいた。そして俺の首に腕を回してキスをせがむ。俺たちは再び唇を重ね合った後、互いの身体を強く抱きしめあった。

 翌朝、俺と深月さんはホテルで朝食を食べていた。昨夜の余韻が残っているのか彼女の頬はまだ上気している。
「昨夜はすごく良かった……」彼女は熱い視線を俺に向けてきた。
「俺もです」と俺は正直に言った。深月さんは嬉しそうに微笑んでいる。
「でも……今日は娘が部活の合宿から戻るから帰らないと」深月さんの表情が少し曇った。
「そうなんですか……それは残念です」深月さんの娘にも興味はあるが、さすがに会うのはまずそうだ。
「ねえ恭介くん……また会ってくれる?」深月さんは少し不安げに俺を見上げた。
「もちろんです、俺の方こそお願いします」俺は力強く答えた。すると彼女はほっとしたように笑顔を見せた。

 それから俺たちは一緒にシャワーを浴びると互いに身体を洗い、ベッドに戻ると彼女の娘が帰ってくる夕方まで、何度も抱き合うのだった。


(続く)