出会い系で知り合った欲求不満な専業主婦

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 ちょっとした好奇心から出会い系を始める人妻というのは意外と多いそうだ。家庭や旦那に明確な不満はなくても、ぼんやりとした満たされない感覚からサイトやアプリに登録するらしい。携帯電話やスマホの普及する前の社会を知っているわけではないが、おそらく出会いや不倫の敷居はとても低くなったのだろうと想像がつく。現代ではそれくらい簡単に女性と知り合えるからだ。

 俺の名前は高山慎太郎、30代の独身だ。
 その日も俺は出会い系マッチングアプリを利用して、夫や子供がいながら他の男と寂しさや性欲を満たそうとしている年上の女性を物色していた。
 彼女たちの多くは現状に不満を持っているわけではないし、俺に対して恋心を抱いているわけでもない。「どこかにあるもっと素敵な何か」を求めているだけだ。

「おっ」
 俺は気になる女性のプロフィールを見つけ思わず声を出した。隣県に住んでいる女性で名前は佐智子、年齢は40代半ば、旦那と娘が二人いて、今は専業主婦をしている。入力されている情報を信じるのであれば、ふつう体系で身長は低め、そして胸の大きな女性だ。

 彼女が出会い系を始めたきっかけは「なんとなく」でメル友や趣味友を求めているらしい。もっともこの手のアプリに登録している時点で、どれだけ取り繕ったところで下心があるのは自明なわけだが。メッセージを送りアプローチすると反応も悪くなかった。
 旦那との仲は良くも悪くもないようだが、家庭や子供たちのことに非協力的なところが不満らしい。結婚生活も20年を超えればそんなものだろう。

 彼女はなぜ出会い系サイトを利用しているのか、浮気願望はどの程度あるのだろうか、そんな疑問が頭に浮かんできた。メッセージの文面からなんとなく性的な話題への抵抗は低く感じる。しかしそれと実際に行動を移すかは別の問題だ。結局は会ってみないとわからない。
 俺は佐智子さんともっと深い関係になる可能性を感じながら、何度目かのメッセージで彼女を映画館デートに誘い出会う約束を取り付けるのだった。

◆◆◆

 待ち合わせ場所に現れた佐智子さんは、プロフィール通りの女性だった。しいていえば小柄なせいか実年齢よりも若く見える。楽しみにしていた巨乳は、服装のせいで残念ながらよく解らなかった。雰囲気や表情がとても落ち着いており、包容力を感じさせる女性だ。おそらく俺が年上好みであることを差し引いても、一般的な価値観からすれば魅力的な女性だろう。

「はじめまして、ちょっと早く着いちゃいましたね」
「俺もです。会えるのが楽しみで待ちきれませんでした」
 俺たちは冗談めかしつつ自己紹介をした。佐智子さんは物腰も柔らかく微笑むと「映画が始まるまで少し時間ができちゃいましたね」と話してくる。
「近くに喫茶店があります。そこで軽く飲みながら話しましょうか」俺は佐智子さんを連れて、近くの喫茶店に入った。

 彼女は楽しそうな表情でメニューをしばらく眺めた後、カフェオレを注文した。
「高山さんは何を飲まれますか?」
 俺は少し考えてから、アイスコーヒーを頼む。そして注文の品が届いてから、俺たちは改めて自己紹介をしなおした。
「佐智子さんはどうして出会い系を?」
「興味本位からです。同じ毎日の繰り返しなので、もっと楽しみたいし刺激が欲しくなって」

 彼女は笑顔を浮かべながらそう言った。落ち着いた雰囲気の彼女だが、もしかしたら見た目よりも積極的なのかもしれない。
「旦那さんとはセックスレスなんですか?」そう尋ねると佐智子さんは少し驚いたような顔をしたが、すぐに笑顔に戻り答えた。
「いえ、そういうわけじゃないですよ。ただ……」と彼女は少し口ごもったが続けた。「夫のセックスは一方的で、私はただ身体を使われているだけ、という感覚ですね」
「なるほど、それは嫌ですね」と俺は言った。
 佐智子さんは続ける。「私は女としての悦びが欲しかったんです」

 確かに旦那から一方的に性欲を処理されるだけでは虚しさがあるのだろう。しかし彼女の言葉は予想外のものだった。
「でも高山さんみたいな年下の方から興味を持ってもらえるなら、私も捨てたものじゃないかもしれませんね」佐智子さんの冗談めかした口調に俺も笑うしかない。彼女はきっとある程度夫に対して不満は持っているのだろうが、家庭そのものには満足しているのだろう。

 俺は彼女の言葉に「実は俺も佐智子さんみたいな女性がタイプなんです」と答えた。
「ふふ、年上好きなんですか? うれしいですね」と彼女は答えるが、特に恥ずかしがる様子もなく笑顔のままだ。どうやらこの手の発言には慣れているらしい。
 そんな他愛のない会話を続けながら、俺は彼女の表情や仕草をつぶさに観察した。彼女は少し照れたような表情をしているが、とくに警戒しているようには見えない。

 それからしばらく会話を続けていると、急に佐智子さんは少し声のトーンを落として言った。
「高山さんは奥さんや恋人はいらっしゃいますか?」
「いえ、残念ながらいません」と俺は答えた。
 別に謙遜したわけではなく、本当に恋人がいないのだ。
 佐智子さんは少し間をおいてから、小声でささやくように言った。
「実は私……最近ずっと欲求不満なんです」
「奇遇ですね、俺もですよ」と答える。

 その簡潔な答えを彼女はどのように受け止めたのだろう。彼女は少し迷うような表情を浮かべた後で笑みを浮かべた。
「変なことを言ってごめんなさい。こんなおばさんに言われても困りますよね」と彼女は言う。
「いえ、そんなことはありません。佐智子さんみたいな魅力的な女性に迫られて嬉しくない男なんていませんよ」俺がそう言うと佐智子さんは、嬉しいような困っているような複雑な表情になったが、決して嫌がっているわけではないようだった。

 俺はさらに言葉を続けた。「俺でよければいつでも相手になりますよ」
 その言葉は俺の真意を測りかねていた彼女にとって決定的だったらしい。彼女は少し驚いたように目を見開いた後で嬉しそうに頷いた。それから俺たちは店を出て予定通り映画館に向かった。喫茶店に入る前と出た後では、佐智子さんとの距離が物理的にも精神的にも縮まっていた。俺たちは終始和やかに会話を楽しみながら移動した。

◆◆◆

 映画館に入って座席に座ると、彼女は俺に身を寄せて小声で話しかけてきた。
「私、男性とこういうところに来るのってすごく久しぶりです」
 そう言って佐智子さんはいたずらっぽく笑う。確かに彼女くらいの年齢の既婚女性が男性と恋愛映画を見に行くというのは、不倫でもしていない限りあまりないのかもしれない。

 映画が終盤にさしかかる頃、佐智子さんの手が俺の手の上に重ねられた。少し驚きながらも、俺はその手を握り返す。佐智子さんは俺の方に顔を向けて微笑みながら、小さな声で囁いた。「高山さん……なんだか私、もう我慢できません」
 上映が終わり映画館を出ると、俺たちはそのままホテルへと向かった。部屋に入ると佐智子さんは上着を脱いでハンガーにかける。「シャワー浴びてきますね」そう言ってバスルームへと消える彼女を見送ると、俺も上着を脱ぐことにした。

 バスルームから戻った佐智子さんは、ベッドに座ると自分の隣をポンポンと軽く叩いた。
俺は誘われるがままに彼女の横に座ると、そのまま軽く唇を重ねた。佐智子さんは目を閉じて俺のキスを受け入れてくれる。そして今度は彼女の方から積極的に舌を入れてきた。俺は応えるように舌を絡めていくと、お互いの唾液が混ざり合いピチャピチャという音が部屋に響いた。

しばらく口づけを続けた後で唇を離すと、佐智子さんは少し照れたような表情で言った。
「ごめんなさい、私ちょっと緊張しちゃって……」
「いえ、俺も同じですよ」そう言って再び彼女にキスをする。
「今日、高山さんとこうなるのかな、という気は何となくしてはいたんですけど」
 そういって照れたように笑う。
「佐智子さんは、どうして今日会ってくれたんですか?」
 そう尋ねると彼女は少し考えた後で言った。
「そうですね……寂しかったからでしょうか。でもそれ以上に年甲斐もなくドキドキしちゃって」

 俺は彼女の胸に手を伸ばした。バスタオルの上から軽く揉むと、確かな質量と柔らかい感触が伝わってくる。佐智子さんは少しくすぐったそうに身をよじったが、抵抗する様子はなかった。俺はそのまま彼女をベッドに押し倒した。そして首筋から鎖骨へと柔らかな身体に舌を這わせる。
「んっ……あぁ……」佐智子さんは目を閉じて甘い吐息を漏らした。愛撫を続けながら少しずつ下降し、俺は彼女の秘部に顔を移動する。そこには綺麗に整えられた茂みがあった。

「あんまり見ないで……」という佐智子さんの言葉を無視して、俺はその茂みの中に指を入れていく。割れ目をなぞるように動かしていくうちに、少しずつ湿ってきたようだ。
 しばらく続けてから指を中に入れてみると、温かく柔らかい感触が伝わってくる。佐智子さんの顔を見ると恥ずかしそうに顔を背けていたが、その様子がまた可愛らしい。

「そろそろ挿れていいですか?」俺が尋ねると佐智子さんは小さく頷いた
 俺は自分のモノを取り出すと彼女の秘所にあてがい、ゆっくりと押し進めていった。
「あっ……ああ……」佐智子さんが声を漏らすと同時に、彼女の中はきつく締め付けてきた。俺は少しずつ抽挿を繰り返しながら奥まで挿入していく。やがて根元まで入りきると、佐智子さんは少し苦しそうな表情を浮かべた。

「大丈夫ですか?」尋ねると彼女は「はい……ちょっと痛いけど大丈夫です」と答えた。俺は彼女の頭を撫でてからゆっくりと動き始める。初めはゆっくりだったペースも徐々に早くなり、パンッという肌のぶつかり合う音が響くようになった。
「んっ……あぁ……いい……」佐智子さんは目を閉じながら快楽に悶えている様子だ。俺はさらに強く腰を打ちつけていくと、やがて限界を迎えたのか佐智子さんが大きく身体を仰け反らせた。それと同時に膣内が痙攣するように締め付けられ、俺はそのまま射精した。ドクンドクンという脈動に合わせて精液を注ぎ込んでいく。

「はぁ……はぁ……」佐智子さんは呼吸を整えるように大きく呼吸を繰り返していたが、しばらくすると落ち着いたようで身体を起こした。
「こんなセックス久しぶり……すごく愛されている感じがして気持ち良かったです」そう言って俺の頬に軽くキスをする。白濁液と愛液の混じった液体がドロッと流れ出しシーツに染みを作っていた。
 それから俺たちはシャワーを浴びた後でルームサービスの夕食を食べ、名残惜しく感じつつもホテルを後にした。

◆◆◆

 帰宅してスマホのメッセージアプリを開くと、佐智子さんからのトークが表示される。
『今日はありがとうございました』という文面と共に可愛らしいスタンプが送られてきていた。
『こちらこそありがとうございました』俺もそれに返信するメッセージを打つと送信ボタンを押す。

 既読がつくまでしばらく間があったが、再び佐智子さんの方から返信が来た。
『また会ってもらえますか?』という文章の後に、照れ笑いをしているスタンプが添えられている。
 俺は少し考えてから『もちろん』と返した後で、『次はいつにしましょうか?』と尋ねた。

『もしも慎太郎さんが大丈夫なら、明日なんてどうですか?』
 佐智子さんから返信が来たので、俺は『わかりました』と返した。
 そして続けて『楽しみにしています』という文章を送る。
 彼女からもすぐに返信が返ってきた。『私も楽しみです』そう言って微笑むキャラクターのスタンプだ。

 また楽しみが増えたな、とこれからの関係に思いをはせつつ、俺はメッセージアプリを閉じるのだった。


(終)