美人キャリアウーマンのヒモになった話(3)

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 会社に戻りその日の調査報告書を作成していると、上司から声をかけられた。
「川上くん、君に助けてもらった、という女性から会社に電話が来てたよ。足を挫いて困っているところを荷物を持ってあげたんだって? その時に落とし物をしたみたいなんだけど、心当たりはあるかな?」
 もちろんそんな心当たりはない。だがその電話をしてきたであろう相手は推測できる。田中美沙しかいない。
 とにもかくにも、親切だが軽率な上司のせいで、これで俺がこの会社で働いていることは確認されてしまったわけだ。だからどうということもないけれど。
「いえ、ありません」
 そう答えながらも俺は、自分が彼女の家政婦になるような予感を抱いた。
「そうか、じゃあ良いんだけど、その女性から連絡先を預かってるから、人違いなら人違いで気が向いたら電話してみてよ。今日もお仕事お疲れ様」
 そう言うと上司は自分の席に戻っていった。

 バイトを終えた俺は、帰り路を歩きながら上司に渡された電話番号に連絡した。出たのは案の定、田中美沙だった。
「もしもし、川上です」
「川上くんね。早速連絡をくれて嬉しいわ」
 彼女は俺から電話がかかってくるのを確信していたかのような口ぶりで応えた。電話越しに聞こえる彼女の声は話す時よりも少し低いような気がした。もしかすると周囲に人がいるのかもしれない。
「また私に会いたくなったんでしょう?」
 彼女はまるで俺の心情を見透かしているかのような振る舞いで喋る。それが正しいかどうかは彼女にとって問題ではないのかもしれない。少なくとも彼女はそう思い込んでいるのだから。俺は余計なことは言わずに要件をまずは伝える。
「もうバイト先にああいう電話はしないで欲しいんです」
「どうして? 川上くん、私に会いたいでしょう?」
「……」
「ね、会いたいでしょ」
「……はい。でもとにかくお願いします」
 話が進まないので認める。ここで意地を張っても仕方ないだろうと判断したためだ。すると彼女は嬉しそうに笑った。
「いいわよ。その代わり条件があるわ」
「田中さんの家政婦になればいいんですよね」
「正解。よくわかってるじゃない」
「雇用条件も確認した上で検討させてください。いつ伺えばいいですか?」

 そうして俺は俺は彼女の条件を聞いていく。家政婦の仕事は週5で、月給は30万円。住み込みで働き自宅での家事全般も行うというものだった。
「分かりました」と即答すると彼女は驚いたようだったがすぐに気を取り直して話を続ける。
「あら、意外と決断が早いのね。そんなに私の家に来たいのかしら?」とからかうような口調で言う。
「はい」素直に答えると彼女はしばらく黙り込んでしまった。
「何か問題でも?」
「いえ……なんだか川上くんのくせに生意気ね」と言いながらもどこか嬉しそうだ。
 こうして俺は田中美沙の家政婦となったのだった。

◆◆◆

 シャワー上がりの彼女の身体に丹念にボディークリームを塗り込みながらマッサージを行う。彼女の裸体は白く美しく艶やかで、黙っていれば芸術品のようだ。普段はスーツに隠れている乳房は意外に大きくて、またウエストも引き締まっておりヒップにかけても見事な曲線を描いている。その美しさたるや、男なら誰しも見惚れてしまうほどである。
「川上くんって本当に上手よね」
 そう言う彼女の瞳は潤んでおり頬は上気しているように見える。その様子を見て俺は股間が硬くなるのを感じた。
「ありがとうございます」続いて彼女の肩を揉みほぐしていくと、気持ち良さそうに目を細めている。
「川上くんって童貞だった割りに女の子の扱いに慣れてるのね」
「姉がいたので多少は」
 そう、田中美沙のような理不尽な年上の女性には俺は慣れているのだ。
「ふうん、そうなんだ。お姉さんってどんな人?」
 興味深そうな目で俺を見る田中美沙に、俺はありのままを答えることにした。
「とにかくわがままな人でした」と俺が言うと彼女は吹き出して笑った。何がおかしかったのかよくわからないが機嫌を損ねないならそれでいいだろうと思い、俺はそのままマッサージを続けることにする。背中や腰周りなどを中心にリンパを流していくうちに次第にリラックスしてきたようだ。その表情からは先ほどの険しさが消えているように見えた。

「川上くん……そこ気持ちいい……」
「はい、ここですか?」と俺は言いながら彼女の背中の中心部分に触れていく。すると彼女はビクッとして小さく声を上げた。
「そこ……もっと強くしても平気だから」
「分かりました」と言うと力を込めて押す。そうすると田中美沙の口から吐息混じりの声が出てきた。それが妙に色っぽくて俺の興奮を高めていくのだった。それからしばらくの間、無言のまま作業を続けたがやがて彼女が口を開いたことで沈黙は破られた。
「……ねえ、お姉さんにもこういうこと、させられてたの?」
「……まあそうですね」
 彼女は身体を起こすと俺を正面から見つめ、頬を両手で挟むと唇を合わせて舌を入れてくる。俺もそれに応えるようにして彼女の口内を蹂躙する。お互いの唾液を交換しながら濃厚なディープキスを交わす。
「そろそろ下の方もお願いしようかしら」
 彼女はそう言うと妖艶な微笑みを浮かべた。その表情を見て俺の心臓の鼓動はさらに早くなるのを感じる。
「わかりました」
 答えると、彼女の両脚をゆっくりと開きながらその中心部へと顔を寄せる。露になった秘部は既に濡れておりヒクついていた。舌で舐め上げるように愛撫すると、彼女は身体をビクビクさせながら喘いだ。その反応を見てさらに興奮が高まるが、焦らず執拗に責め立てる。これはあくまでも彼女への奉仕であり、俺ががっつくわけにはいかない。

「川上くん……私もう我慢できないわ」と彼女は潤んだ瞳で見つめてくる。
 俺は自分の分身をズボンの中から解放すると、彼女のそこへ挿入していく。熱い膣内を押し広げながら奥まで到達させるとそのまま動き始める。最初はゆっくりとしたペースで徐々にペースを上げていくにつれ二人の呼吸も荒くなっていく。やがて限界を迎えた田中美沙は一際大きな声で鳴いたあと身体を弓なりに反らせたかと思うとぐったりと脱力した。それと同時に俺も果てたのだった。

◆◆◆

 田中美沙の家政婦として住み込みで働くことになった俺は、朝昼晩の食事を作り掃除や洗濯などの家事全般をこなしつつ、夜は彼女の求めに応じて性的な関係を持つようになった。要はヒモだ。
「ねえ、川上くん。私のこと好き?」と彼女が聞いてくる。
「はい、好きです」と俺は答える。
 すると彼女は満足そうに微笑む。彼女は俺が恋愛感情を持っていないのを知っているし、彼女もまた俺のことを家事と性欲処理ができるお気に入りのペットくらいにしか思っていない。彼女は俺に「好き」と言わせられる支配関係に満足しており、俺もまた彼女への奉仕を仕事と割り切っている。互いにwin-winの関係だ。

「私も好きよ、川上くん。私だけのものにしたいくらい」
 そう言うと俺に抱きついてくる彼女を抱き寄せて唇を重ねる。舌を入れお互いの唾液を交換しながら貪るようなキスをすると、それだけで興奮してしまう自分がいた。田中美沙は俺の胸に顔を埋めると甘えるような声で言った。
「ねえ、川上くん。もっとキスして」
 そんな彼女の頭を撫でてやりながら優しく語りかけるように言う。
「はい、わかりました」
 そのままもう一度口づけを交わしてから、今度は首筋から鎖骨にかけてゆっくりと愛撫していく。時折強く吸い付いて痕を残してやると彼女は嬉しそうな声を上げるのだった。それから胸元に手を這わせて乳房を揉みしだいてやると気持ち良さそうな声を上げる。さらにもう片方の手で下腹部をさすってやるとビクビクと反応するのが分かった。そろそろ頃合いだろうと思い彼女のショーツの中に手を入れると、すでにそこは潤っており太ももまで濡らしていた。それを潤滑油代わりにして割れ目に指を入れると中は熱くうねり俺の指を軽く締め付ける。

「川上くん……もう欲しいわ」
 そう言うと彼女は俺に馬乗りになり、俺のモノを下半身に咥え込むと自ら腰を動かし始めた。いわゆる騎乗位というやつだ。彼女は主導権を握ることができ、好きなように動けるこの体位を好む。俺は彼女の動きに合わせて下から突き上げ、さらに強い刺激を送り込む。程なくして彼女は達してしまったようだった。余韻に浸るようにしばらく腰の動きを止めていたが、まだ満足はしていないらしく、今度は前後に動くような動きをしてくるのでこちらも動きを変えて、彼女の弱い部分を刺激する。
「ああんっ! そこっ! いいっ!」と彼女が叫ぶ。
「ここですか?」と聞くとコクコクと肯くので重点的に攻め立てることにする。
 やがて限界が訪れたのか、背中を大きく仰け反らせるとぐったりと脱力してしまった。そんな様子を見て俺は満足感を得ていたのだが、彼女は不満そうな表情を浮かべていた。
「川上くんって本当に童貞だったの? 物覚えが良すぎない?」
 そう言うと彼女は起き上がって俺に抱きつきキスをしてくる。それに応えるように舌を絡ませると彼女も積極的に応じてきた。しばらくお互いの口内を犯し合った後で口を離すと唾液の橋がかかる。彼女はそれを手で拭うと妖艶な笑みを浮かべた。
「まあいいわ。私を満足させてくれるのなら、これからもよろしくね」
 そう言うとまた抱きついてくるので、俺は黙ってそれを受け入れるのだった。


(続く)