人妻学校事務員と二人きりの放課後(2)

240707.jpg

 学校には様々な大人が出入りしているけれど、生徒である僕たちが認識しているのは主に教職員だけだ。しいてあげればあとは用務員さんくらい。事務職員なんて関わることはまずない。目には入っているけれど、彼らが誰で何をしているかなんて意識すらしていなかった。
 そんな僕が事務職員である佐田美鈴さんと会話するようになったのは、事務室の掃除当番になったことがきっかけだった。最初は「こんにちは」とか「お疲れ様」とか「お掃除ありがとう」とか、そんな会話だったと思う。
 ある日、感心したように「本当にしっかり掃除するのね」と言われた。それから彼女の娘さんが部屋を散らかしてばかりといった話や、彼氏を家につれてきた話を聴くようになり、少しずつ雑談を楽しむ関係になったのだ。

 最初はそれだけの関係だった。佐田さんは僕に少しは気を許してくれていると思うが、放課後に密会するようになった今でも、彼女の本心がどこにあるのかよくわからない。わかるのは、僕が彼女を一人の女性として好きになってしまっていた、ということだけだ。
 だから図書館で本の整理をしていた彼女が「本当はね、私ずっと我慢してるの」と言った時、僕は思わず「じゃあ佐田さんが我慢しなくていいように手伝いますよ」と言っていた。彼女が何を我慢しているのか、その言葉の意味を考えもせずに。
 彼女は驚いたように目を見開いて僕を見た。その瞳には期待と不安が入り混じった感情が浮かんでいる。
「じゃあ……手伝ってくれるなら、お願いしようかしら」佐田さんはそう言って僕の手を引いて歩き出した。

◆◆◆

 連れて来られたのは資料室がある旧校舎の2階で、鍵を開け中に入ると埃っぽい空気が充満していた。ほとんど使われておらず換気も十分ではないようだ。
「この通りほとんど使われてない部屋でね。誰も来ないから安心して」
 彼女は窓を開けながらそう言った。
「ここなら誰にもばれないわ。だから、ね」
 佐田さんは僕の手を引き資料室の奥へと進んでいく。そして壁際まで来ると僕に抱きついてきた。彼女の胸が押し付けられ柔らかい感触に包まれる。状況が整理できず戸惑う僕に彼女は切なげな声で囁いた。

「ねぇ、早く……お願い。……手伝ってくれるんでしょう?」
 僕はその言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になっていた。理性が崩壊して欲望が堰を切るように溢れ出してくるのを感じた。
「佐田さん……僕……!」
 彼女の肩を掴み抱き寄せると唇を奪った。舌を差し入れ口内を蹂躙すると彼女も積極的に舌を絡めてくる。お互いの唾液を交換し合うような激しいキスだった。息継ぎのために一度唇を離すと銀色の糸が二人の唇を繋いだ。再び唇を重ねると今度はゆっくりと味わうようにキスをした。その間もずっと僕の手は彼女を求めて動いていた。服の上から胸に触れるとその大きさがよくわかる。

 最初は遠慮がちに撫でていたが、次第にその動きは大胆になっていった。
「ん……はぁ……いいわ。君も我慢しないで、好きなだけ触って……」
 佐田さんの口から甘い吐息が漏れる。彼女はあいた僕の手を掴むと自分の股間へと導いた。ストッキング越しに生まれて初めて触る女性の秘所は、しっとりと熱く火照っている。彼女が僕の耳元で囁いた。「ねぇ、ここも……直接、弄って欲しいの……」

 彼女の言葉に促されるように僕はストッキングとショーツを下ろしていく。するとむわっと蒸れた女の匂いが立ち込めた。佐田さんは恥ずかしそうに顔を背けたが、抵抗する素振りはなかった。一糸まとわぬ姿となった彼女が現れる。白い肌に形の良い大きなお尻がとても扇情的だった。   
 中心にある割れ目からは愛液が流れ出ており、太ももにまで垂れてきている。僕は唾を飲み込むと恐る恐る手を伸ばした。そして割れ目に沿って中指を這わせる。その瞬間、彼女の身体がビクンっと跳ね上がるのがわかった。

「あっ……ん……」
 佐田さんは目を閉じ感じ入っているようだった。人差し指と薬指で大陰唇を開かせるようにして開くと、ピンク色の粘膜が顔を覗かせた。その中心部に小さな突起物が見える。それを親指でぐりっと押し潰すように刺激を与えるとさらに愛液が溢れ出し床を濡らした。
「んっ……あぁ……!」
 彼女は身体を仰け反らせ甘い声を上げた。もっと気持ちよくなって欲しいと思い、さらに強く擦り上げるように愛撫を続ける。
「あっ!……ああっ!」
 彼女が一際大きな声で鳴いたところで指の動きを止める。佐田さんは荒い呼吸を繰り返しながら僕を見つめてくる。その目はどこか物欲しげに見えた。

 その時、校内に生徒の下校を促す放送が流れた。佐田さんは逡巡するような表情を見せたがそれもほんの一瞬だった。
「……こんな時間なのね。用務員さんが戸締まりの確認で回ってきちゃうわ」
 僕は初めて目にした大人の女性の性欲に茫然としたまま黙ってうなずく。
「今日はありがとう。……よかったら、お礼に明日は私が気持ちよくしてあげましょうか?」
「……は、はい」
「それじゃ、また明日ね。今日はありがとう」
 そう言う彼女に促されて僕は資料室を後にした。ズボンの中で痛いくらい勃起している僕を残して。あれから僕はずっと、何度射精しても心からの満足感を得られていない。

◆◆◆

 休日、家でごろごろしているのもどうかと思った僕は、近所のショッピングモールへ出かけた。特に目的があったわけでもなく、適当にぶらついていたところ雑貨屋の前で足を止めた。そこに並べられていた商品の一つが目に留まったのだ。それはピンク色の卵のようなもので、表面には細かいイボのようなものが無数についている。商品名を見ると「振動マッサージャー」と書かれている。大きさは掌に乗るくらいだろうか。説明文を読むとどうやら膣内に挿入して使うものらしい。

(……佐田さんの中にこれが入ったら)
 つい先日見たばかりの、ストッキング越しの濡れた股間を思い出して勃起してしまう。
(ダメだ……こんなとこで)
 妄想の中で佐田さんは淫らな表情を浮かべながら腰を振り乱し自ら快楽を求めいた。僕のモノに手を添えながら物欲しそうに彼女の唇が『入れて』と動いたところで我に返る。

「はぁ……」
 溜息が出る。このところ性欲を処理している時も、頭の中に浮かんでくるのは佐田さんのことだった。自分でも異常だと思うがどうしても抑えられない。ただ、こんなことを考える僕はきっと彼女からすれば気持ち悪いんだろうなとも思う。しかしそれでも構わないと思ってしまうあたり、もう末期なのかもしれない。
(明日になればまた会えるんだし)
 妄想を振り払うようにその場を離れようとしたところ、ちょうど通りがかった女性とぶつかってしまった。

「すみませんっ! だいじょうぶですか?」
 慌てて謝罪すると、そこに立っていたのは佐田さんだった。思わず声が出そうになる。今日は休日だからか私服姿だ。佐田さんは僕を見ると一瞬驚いたような表情を浮かべたが、すぐにいつもの落ち着いた笑みを浮かべる。彼女は僕を咎めることもなく言った。
「大丈夫よ。こちらこそごめんなさいね」
 お互いに怪我がなかったことに安堵していると「おい、美鈴どうしたんだよ?」と言いながら背の高い男性が近づいてくる。

「なんでもないわ……ちょっとぶつかっちゃっただけだから」
 佐田さんがそう答えると男性はこちらには一瞥もせず「ぼんやり歩いてるからだろ、さっさと行くぞ」と言い立ち去ろうとする。会話から察するにおそらく佐田さんの旦那さんなのだろう。彼女は顔の前で『ごめんね』というジェスチャーをすると、旦那さんの後を追い去っていった。僕はその後ろ姿をずっと見つめ続けていたが、佐田さんと旦那さんが見えなくなると、雑貨屋に入りあの振動マッサージャーを購入した。


(続く)