出会い系の不倫妻は妄想に耽り刺激を求める(1)

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 不動産屋の女性職員に案内された部屋は、こざっぱりとした1LDKの部屋だった。空き部屋であるため当然だが、室内は閑散としている。だがそれは空虚なものではなく、窓から差し込む光に照らされた室内は柔らかく優しい印象だった。リフォームされているため、築年数の割りには綺麗だ。こんな部屋に住むのも悪くないかもしれないな、と僕は思った。

「どうですか? いい部屋でしょう」
 この部屋に案内してくれた不動産屋職員の美代子さんが笑顔で話しかけてくる。先月、五十歳になったらしいが老けているという印象はない。きっと子どもの頃からこんな笑顔を浮かべていたのだろう、と想像できる顔立ちだ。ジムに通いヨガをしているとかで、服の上からでも成熟した肉体が伺い知れた。

 魅力的な年上の熟年女性と二人きりで同じ部屋にいるという状況に、性的欲求の高まりを感じずにはいられない。美代子さんはそんな僕の気持ちを知ってか知らずか、無防備とさえいえる振る舞いでボディタッチを交えながら室内を案内してくれる。ズボンの中で密かに陰茎が硬くなっていくのを感じた。

「キッチンも使いやすいですよ」
 美代子さんはシステムキッチンの前で立ち止まると、手際良くキッチン収納を開いて見せた。その動作一つ一つに色香が漂う。後ろを向きつつわざとお尻を突き出すようにして僕に見せつける。下着をつけていないのか、お尻の割れ目のラインがくっきりと浮き出ていた。僕は我慢できずに彼女のヒップラインに視線を送りごくりと唾を呑む。スーツの上からでも十分にその大きさが伝わってくる、引き締まったウエストとは対照的なふくよかなお尻が目の前にある。

「どうかしました?」
「あ、いや……」
 美代子さんが振り返って問いかける。咄嗟に言葉を濁すが、すぐにでも彼女に襲いかかりたい衝動に駆られた。このまま彼女を抱き寄せて、強引にキスをして、服の中まで触れ合いたい。そんな欲望が頭の中を支配し始める。
「素敵な部屋ですね。住みたくなりました」
「本当ですか? 良かった、私もこの物件をご案内できて嬉しいです」

「こちらはリビングスペースですね。広さも十分ですし、窓からの眺めも良好です」
 リビングに移動する際にも、美代子さんは自然に身体を寄せ、僕の手に触れたり、太ももを押し付けたりしてくる。その都度、彼女の香水の甘い匂いがふわっと鼻をかすめた。
 ベランダに面した窓から景色を眺めている無防備な背中から抱きしめると、僕はそのまま強引にキスをした。美代子さんもまたそれを待っていたかのように、形ばかりの抵抗をすると自ら積極的に舌を絡めてくる。口の中で混ざり合う二人の唾液が甘く、頭がクラクラするほどの快楽だった。

「ねぇ……。もう我慢できない、しましょう」
 美代子さんが僕の耳元で囁いた。そのまま、耳を舌で舐め回しながら、股間に手を伸ばしてくる。僕もまた彼女のタイトスカートの中に手を入れ、黒のストッキング越しに柔らかなお尻を揉みしだく。堪らずキスを中断して立ちバックの体勢で後ろから攻め立てると、美代子さんは「あん……」と色っぽい声を漏らした。
 パンストに浮き出たヒップラインに沿って手の平を動かすと、程よくついた脂肪が適度な弾力と柔らかさで僕の手を押し返してくる。パンスト越しに見える下着のクロッチ部分をなぞるように触れると、美代子さんは「いやぁん……」と喘いだ。

「本当に大丈夫なんですか?」
「もう……、ここまでしておいてそんなこと聞くなんて、意地悪ね」
 美代子さんが振り返って僕を見る。その目には期待の色が滲んでいた。僕は彼女の背中を壁に押さえ付け、覆いかぶさるように抱きしめた。そして再び激しいキスを交わす。彼女の舌を吸い、唇の感触を愉しみつつ、服の上からその豊満な乳房を揉んだ。ストッキングのざらついた感触が指に伝わる。

「んっ……ふぅ……ん……」
 美代子さんは待ちきれないという様子で僕の手を摑み自らの太ももに導いた。ストッキングのざらざらした感触とともに柔らかな肌が手に吸い付く。僕は彼女のタイトスカートと下着を脱がせると、そのまま下半身に顔を埋めた。熟れた女陰から漂う甘酸っぱい香りを吸い込みつつ、舌先でクリトリスを刺激する。美代子さんが腰を浮かせながら「あっ……あっ……」と声を漏らす。僕は彼女の両脚を開かせ、その間に割って入ると、陰茎の先端を膣口にあてがい一気に挿入した。

「ああんっ」
 美代子さんが一際大きな嬌声をあげる。そのまま激しく腰を動かすと、彼女は僕の背中に腕を回してしがみついた。結合部からはグチュグチュという卑猥な音が漏れ聞こえる。
「あぁん……いい……。もっと突いて……」
 美代子さんが耳元で囁く。僕は彼女の望み通りに抽送を繰り返した。腰を打ち付けるたびにパンストに包まれた大きなお尻が揺れ、太もも同士がぶつかる音が響く。互いの性器を擦り合わせる度に快感が生まれ、全身を駆け巡った。

「あぁっ……だめ……イクッ」
 美代子さんが先に絶頂を迎えたようだ。膣内が激しく収縮し陰茎を締め上げると同時に、大量の愛液が分泌されたのを感じる。その刺激で僕もまた限界を迎えた。膣奥にどくんどくんと精液を流し込む。
「あぁ……すごい量……」
 美代子さんは満足げに呟くと、僕にもたれかかってキスをしてきた。僕もまたそれに応えて舌を絡ませる。繋がったまましばらくの間余韻に浸った後、僕らは身体を離した。陰茎を引き抜くとどろりとした白濁液が流れ出る。

「ありがとう、……内見中にお客様に迫られてセックス……と妄想してたのが叶ったわ」
 美代子さんが無邪気な笑みを浮かべて言う。僕は苦笑しながら「どういたしまして」と答えると彼女の膣から溢れ出た精液を拭く。彼女がピルを服用し、こうして中出しをするようになってから随分経つな、と思わず感慨にふける。
「健司さんは気持ちよかった?」美代子さんはそう言うと、労わるように僕の唇に軽くキスをする。

「もちろん。美代子さんのおまんこ、最高です」
「ふふ、ありがとう。……でも、やっぱり一回だけじゃ満足はできないよね」
 美代子さんが僕の股間に手を伸ばす。そこは彼女の膣内で射精したばかりだというのに再び硬くなっていた。彼女は少し申し訳なさそうな笑みを浮かべながらそれを優しく握り上下に動かし始める。

「ごめんね、私ももっとしたいんだけど、お仕事中だからさすがにね……」
「大丈夫、気にしないでください」僕は美代子さんを抱き寄せた。彼女は僕の耳元に顔を寄せると熱い吐息を吹きかける。
「お仕事終わったら健司さんの家に行くから……いっぱいしてね」
 そう言って美代子さんは僕の手を自分の胸に押し当てた。生地越しに伝わる柔らかさと温かさが心地よい。僕は誘われるままに彼女の乳房を揉みしだき、乳首の部分がうっすらと湿っていることに気づき、さらに興奮が高まる。僕は美代子さんの胸全体を包み込むようにしてゆっくりと揉んでいった。

「美代子さんこそ、こんなに発情して、この後きちんと仕事になるんですか?」
「もう……、健司さんがおちんちんこんなに硬くしてるせいよ」
 美代子さんが僕の首筋に唇を這わせる。僕は彼女の柔らかな髪を優しく撫でつつ、耳や頬に何度も口づけをした。そのまま僕たちは互いの性器を刺激し合うように身体を密着させ、互いの存在を確かめ合う。

「それにしても良い部屋ですね。綺麗で家賃も安いし、本気でここに引っ越すのも悪くないかなって思いました」
 俺の台詞に美代子さんは少し困ったような曖昧な笑みを浮かべる。
「大規模なリフォームをしたから確かに綺麗なんだけど……」と美代子さんはそこで言葉を切った。
 僕の陰茎をしごく手も止まっていたので、どうしたんだろうと思っていると彼女は悪戯っぽい笑みを浮かべて言った。

「ここに住むのはおすすめしないかな。事故物件だし……」
「え?」
 僕は思わず聞き返した。まさかとは思うが……。そんな僕の様子を察して美代子さんが続ける。
「前の住人の女性、首を吊って自殺しちゃったの」
 僕は思わず息を呑んだ。そんな僕の様子を見て美代子さんはクスクスと笑っている。

「冗談よ。でも本当に事故物件だから……、もし健司さんが住んで何かあったら心配だしね」そう言って彼女は再び手を動かし始めた。
「あ、いや、ちょっとびっくりしただけですから」
 僕は慌てて取り繕った。しかし内心では動揺していた。このマンションで過去に人が亡くなっているというのは紛れもない事実のようだ。既婚女性との不貞行為の場所として使っておいて今更だが、さすがに申し訳ない気がしてきた。

「ここ、本当に事故物件なんですか?」
「うーん、まぁ……そうとも取れるわね」美代子さんは歯切れの悪い返答をした。「でも、前の住人はきちんと成仏したみたいだから安心して。それに、もし何かあっても私が守ってあげる」
 そう言って美代子さんは僕の陰茎をしごきながら微笑んだ。僕は彼女の程よく適当な物言いに安心し、その柔らかな手の感触と妖艶な笑みに興奮が高まっていくのを感じた。
「出させてあげたいけどごめんね……そろそろ帰社しないと怪しまれそうだから……」
 美代子さんが名残惜しそうに言う。最後にもう一度だけ濃厚なキスを交わして、僕たちは部屋を後にすべく身支度を整えた。


(続く)