スイミングスクールで知り合った人妻とのW不倫(2)

240623.jpg

 それからというもの、毎週水曜日になるとスイミングスクールが終わった後に二人で食事をするのが日課になった。プール以外の場所で会う千春さんは新鮮でまた違った魅力がある。俺たちは相手に対して好意と下心を抱き、またお互いそれに何となく気づいていた。彼女との距離は次第に縮まり、二人きりのとき俺たちの仲は恋人同士のような空気と距離感になっていった。

 千春さんが俺の手を握ると、俺は自然に彼女を引き寄せ抱きしめる。それはごく自然な仕草で、彼女も抵抗なく俺を受け入れるのでそのままお互いの体温を感じながらじっとしていた。
「ねえ和幸くん」と耳元で囁くように彼女が言う。
「なんですか?」答える俺の顔を彼女は両手で包んで引き寄せると軽くキスをした。
「私たちって付き合ってるのかな?」呟く彼女に、俺は少し考えてから答えた。
「そうですね……そうかもしれません」
「ふふ、だったら嬉しいな」と彼女は微笑む。その笑顔を見ると心が温かくなるのを感じた。

 千春さんと過ごす時間は楽しかったし、一緒にいるだけで幸せを感じることができたが、同時に罪悪感もあった。俺達は既婚者だし彼女には子供もいる。それは最後の一線を越える妨げであり理由にもなっていた。一方で彼女に対する想いを抑えることはできず、むしろ気持ちは日増しに強くなっていく。
 スイミングスクールのある日だけではなく、仕事帰りや休日にも頻繁に会うようになり、そのたびに彼女は様々な表情を見せてくれた。彼女の笑顔は何よりも魅力的で、一緒に過ごす時間はあっという間に過ぎていった。彼女もまた俺のことを心から愛してくれているようで、いつも俺にさり気ない好意をアピールしてくれた。

 ある日、いつものように一緒に食事をしていると千春さんが思い切ったように言った。
「和幸くんはさ……正直、私のこと女性としてどう思ってる?」
 少し不安そうな顔で彼女は聞いてくる。
「もちろん好きですよ」と答えると、彼女はほっとしたように小さく息をついた。
「じゃあさ……もし私がもっと親しくなりたいって言ったらどう思う?」

 俺は一瞬だけ迷ったが、すぐにその気持ちを受け入れた。千春さんとの仲は後戻りが考えられないくらい深まっていたし、俺自身もその先のことを望んでいた。俺がうなずくと彼女は嬉しそうな顔をして俺の手を取った。そしてそのまま自分の胸に俺の手を当てる。柔らかな感触と共に彼女の体温を感じる。その瞬間、俺の心臓は大きく跳ね上がり、顔が赤くなるのを感じた。
「私、いま凄くどきどきしてるの」と千春さんが囁くように言う。理性が崩れていくのを感じながら俺は、ここが飲食店の中であることも忘れて彼女の胸に手を這わせた。彼女は抵抗せずに身を任せている様子だったが、その表情には羞恥と期待が入り混じっているように見えた。

「ねえ……私たち付き合わない?」
 突然の申し出に一瞬言葉を失ったが、すぐに嬉しさが込み上げてきた。
「いいんですか?」と確認するように聞くと、彼女は微笑みながらうなずいた。
「……うん」千春さんは甘えた声で「和幸くん……」と囁くと唇を重ねてきた。今まで交わしていた挨拶のようなキスとは違う。それは特別な親愛を伝えるための深く長い口づけで、互いの舌が絡み合い唾液を交換した。頭が痺れるような快感を覚えながらも、味覚、触覚、嗅覚、聴覚、視覚の全てで彼女の存在を感じる。

 やがて唇が離れると二人の間を銀色の糸が引いたがすぐに切れてしまった。それを名残惜しく思いながらも呼吸を整える俺に対して、千春さんは満ち足りたような笑みを浮かべていた。
「うれしい……本当に夢みたい」と彼女は呟いた。
 俺は思わず彼女を抱きしめた。無言で抱き合っていると互いの心拍音が同期していくように感じる。やがてどちらからともなく離れると、もう一度軽く口づけを交わして席を立った。会計を済ませて店を出ると、そのまま駅に向かって歩き出した。千春さんの腕は俺の腕にしっかりと絡められている。彼女の手の感触を感じながら、これからのことを考えるだけで心が躍った。

◆◆◆

 その日から、俺と千春さんの特別な関係が始まった。お互いの家族にはスイミングスクールに行くと偽り、ホテルで密会するようになった。彼女との関係はとても刺激的で、ただ会うだけでも楽しかったが、それ以上に共有する時間は濃厚で官能的だった。ホテルでは彼女の全てを目にして、思いのまま味わった。触れ合うたびに互いの愛情を感じ、心も体も深く結ばれていった。
 千春さんは俺のどんな要求にも応えてくれたし、また彼女自身もその行為を心から楽しんでいる様子だった。俺たちは逢瀬を重ね、二人だけの秘密を共有した。それは愛情と信頼の証であり、また互いの存在を確かめる行為でもあった。

 部屋に入ると千春さんがベッドに倒れ込むようにして横になる。俺はそんな様子を眺めながら、自分の欲望を抑えることなく彼女の元へと歩み寄る。彼女は仰向けに寝そべったまま俺の姿を認めると嬉しそうに微笑んだ。その表情はどこか幼く見えるが、同時に妖艶な雰囲気を漂わせているようにも思えた。
 俺はそんな彼女の上に覆い被さるようにして四つん這いになるとゆっくりと唇を重ねる。最初は触れるだけの軽いキスから、次第に舌を伸ばして絡め合わせる。鼻腔から千春さんの香りが侵入して甘く脳が痺れる。耳の奥でぴちゃぴちゃという音がいつ絶えるともなく響き続け、俺たちは夢中でお互いを貪るように唾液を交換し続けた。

「ねぇ和幸くん……私、もう我慢できないよ……」
 千春さんは切羽詰まったような声で言うと再び唇を重ねてきた。口内に侵入してきた舌が歯茎の裏や上顎を刺激してきて、背筋がゾクゾクとした感覚に襲われる。同時に股間のものが一段と大きくなり、先端からは我慢汁が溢れ始めたのがわかった。
 このままではまずいと思った俺は唇を離したのだが、千春さんは逃がさないとばかりに追いかけてきて再びキスをしてきた。
「和幸くん……好き……」
 千春さんが熱っぽい声で言うと、今度は俺の首筋を舐め始めた。ざらりとした感触が伝わり背筋が震える。そしてそのまま舌はゆっくりと下りていき鎖骨へと到達した。

「はぁ……はぁ……」と彼女の呼吸が荒くなるのを感じながら互いの衣服を剥ぎ取り裸になる。水着の上からではわからない、胸の形や乳首の色、乳輪の大きさ、陰毛の濃さなど、普段は隠れている部分が露わになり興奮する。何度身体を重ねても、恥じらう彼女の表情が欲情を駆り立てた。
 千春さんの手が俺の胸へと伸びて、指先が乳首に触れると刺激が走る。「んっ……」思わず声が出てしまい慌てて口を塞ぐが遅かったようだ。千春さんは妖艶に笑うと執拗に責め立ててくる。指先でつままれたり爪を立てられたりする度に甘い吐息を漏らしてしまう自分が恥ずかしかったが、それ以上に快感の方が勝っていた。次第に全身の力が抜けていき力が抜けていくと俺は彼女の上に覆い被さるようにして倒れ込んだ。

「ふふ……可愛いね」と千春さんが耳元で囁く。
 俺は何も言えずにただ黙って彼女の豊かな胸に顔を埋めた。柔らかく弾力のある乳房は温かく、心臓の鼓動が伝わってくるようだった。しばらくその状態で抱き合っていたが、やがてどちらからともなく体を起こすと俺たちは何度も体位を変えながら交わり続けた。正常位で挿入し、騎乗位で腰を振り、後背位で獣のように激しくピストンする。千春さんはその度に大きな声で喘ぎ乱れていた。その姿はとても美しく淫らで、見ているだけで興奮してしまうほどだった。

◆◆◆

 何度目かの絶頂を迎えた後、俺はぐったりとして動けなくなった彼女の隣に横になった。呼吸を整えていると不意に彼女が俺の腕を掴んできた。見ると彼女は微笑んでいるようだったが瞳は潤んでおり頬は上気しているように見える。よく見ると口の端からは唾液が流れ落ちており首筋を伝って胸元へと垂れ落ちていた。その様子はとても扇情的で、見惚れながらティッシュを手に取り彼女の口元を拭いてあげる。

「ごめんなさい……私、またはしたなくて……」と千春さんは申し訳なさそうに言うが俺は首を横に振って否定した。むしろそんな彼女の仕草が可愛らしく感じられたし、自分を求めてくれることが嬉しかった。
「いえ、そんなことないですよ」と言うと、彼女を抱きしめてキスをする。官能を高めるためではなく、情事の後の余韻を鎮めるように、ゆっくりと唇を重ねる。
「和幸くん……大好きだよ」と千春さんが囁くように言ったので「俺もです」と答えると、彼女は満足そうに微笑んで俺の胸元に額をぐりぐりと押し付けた。

「ねえ……今度、二人きりで泳ぎに行こうよ。せっかくスイミングスクールに通ってるんだし。どこか遠い、知り合いが誰もいないところにさ」
 俺は腕の中に彼女の温もりを感じながら「いいですね」と答える。
「一緒に新しい水着も選ぼうね。和幸くんが好きなのを着てあげる」そう言ってはしゃぐ彼女の存在は、ぼんやりとした甘い幸せの塊のようで、俺はそれを壊さないように、優しく抱きしめながら微睡むのだった。


(終)