出会い系で還暦越えの美熟女と出会うということ

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 出会い系で還暦越えの既婚女性と出会った。
 正直、年齢については信じていなかった。出会い系ではたまに、手当たり次第にメールを送っているような男性の検索から逃れたい、けれどもプロフィールを非公開にもしたくない、という理由から年齢を極端に高く設定している女性がいる。俺はといえば実際に会うことは考えておらず、趣味の読書を通じてメッセージのやり取りをしたかっただけなので、年齢は気にせず彼女にアプローチした。

 彼女、貴子さんは俺が年下ということで最初は警戒していた。だが好きな作家やおすすめの本の話題で盛り上がり、交流を重ねているうちに話が合ったので、実際にも会って食事をすることになった。その時点で既に写真も交換していたが、それでもなお、俺は出会い系サイトでの彼女の設定年齢を信じていなかった。
 確かに落ち着いた雰囲気の女性だった。だが単純に見た目が若々しい。それに文章がしっかりしていたことからも、俺は彼女の実年齢を、おそらく40代後半くらいだろうと推測していた。歳をとった女性の文章というのは、長文を書けなかったり表現が年寄り臭かったりと、加齢臭が漂っているものなのだ。

 だから会ってみて本当に彼女が60代だと知りとても驚いた。しかも年齢を偽るような詐欺的な写真を送られた訳ではなく、実物も写真通りだった。とても還暦を越えているようには見えない。「私が若く見えたの? 嬉しいわ」と貴子さんは微笑んでいたが、俺の内心は完全にパニックで驚きを隠せなかった。もちろんその反応は顔にも出ていたようで、彼女はずっとおかしそうに笑っていた。
 食事の間も年齢のことでいじられ、俺はすっかりペースを乱されてしまった。とはいえ彼女に悪意はなく、ただ面白がっているだけなのは解ったので悪い気はしなかった。

◆◆◆

 それから俺達は何度もデートを重ねた。その一方でお互いの関係性を測りかねてもいた。原因は色々あったと思うが、俺たちは恋人でもないし友人でもない、微妙な距離感のまま親しくなっていった。
「あなたと会って、なんとなく年下の男性が好きな女の人の気持ちがわかったわ」とある日彼女は言った。「そういうもんですか」と俺は他人事のように答えた。
「そうだ、今度うちの別荘に遊びに来ない? わりと近いし、自然も美しいからきっとあなたも気に入るわ」
 田舎の別荘。60代の女性。そして旅行。俺はその言葉だけで様々なものを連想した。不倫。密会。連れ込み宿。

 結局俺は彼女の提案に流されるまま、その翌週には車で二時間ほどかけて別荘に訪れていた。そこは二人で過ごすには十分な広さで、シンプルな作りだが家具も上品で管理が行き届いており清潔感があった。
「別荘を持っているなんてすごいですね」と俺は言った。
「ありがとう、ここはね、私のお城なの」
 そう言うと貴子さんは当然のように唇を重ね、俺も自然とそれを受け入れていた。
「ここでは私がヒロインなの、いくつになってもね」

 もしかすると関係性を測りかねているうちに、無自覚のまま彼女を焦らしてしまっていたのかもしれない。忘れていたが、彼女は還暦を過ぎて既に閉経しており、なのにとてもそうは見えないくらい美しくて、出会い系で男性を求めるくらい性欲のある女性なのだ。
 感度もよく、唇を重ねたまま服の上から愛撫しているだけで、彼女の身体は火照り、陰部はショーツの上からでもわかるくらい濡れていた。
「一応、聞くけど……ここに来たということは、あなたもその気なのよね?」
 俺が小さく頷くと、彼女は手を引いてベッドルームへと案内してくれた。

◆◆◆

「んっ、あぁっ……もうだめ」と彼女が息も絶え絶えに呟いた。
 雄と雌の淫臭でむせ返るような室内で、先に音を上げたのは彼女だった。とはいえ俺の息も上がっている。年齢差を考えれば完全に俺の負けかもしれない。本気を出した彼女はまさに淫乱熟女だった。

 俺は彼女の手を取り指を絡める。しっとりとした肌の感触を確かめながら「旦那とするのと俺みたいな若い男とやるの、どっちが気持ち良かったですか?」と言う。
 彼女は潤んだ瞳で俺を見つめて「あなたよ」と答えた。そして俺たちは再び唇を重ねた。それはこれからのお互いの関係性を決める契約のような口づけだった。

 彼女は俺の唇に吸い付き、そのまま舌を差し込んだ。俺もそれを受け入れて絡める。キスをしながら彼女の後頭部を撫でると彼女は唇を離してから「素敵……」と囁いた。それからもう一度軽く唇を重ねると、今度は耳元に口を寄せ囁いた。
「ねぇ、もっと抱いて。一回り以上も年上の女の身体を思うがままに貪って。閉経した人妻のおまんこに好き放題中出しして」熱に浮かされたような彼女は、饒舌に誘惑の言葉を口にする。

 俺もまた彼女の望むがままに、ベッドの上で再び彼女に覆い被さる。彼女は自ら両足を持ち上げてM字開脚のような体勢になった。その仕草はあまりにも淫らで、60代の既婚女性がするにはあまりにも退廃的だった。
「きて」と彼女は言った。既に二度出しているがインターバルを取ったおかげで俺のモノは回復していた。いやむしろ先程よりも硬く勃起していたかもしれない。

「あっ、んっ……あぁっ……すごい……」と彼女が喘ぐ。
「いい、そこ好き……もっと突いて」と彼女は甘い声を出した。
 彼女のそこは俺のモノを離さないと言わんばかりにきつく締め付け、その快感に俺は思わず腰の動きを緩める。だがどうやらそれはお気に召さなかったらしい。貴子さんは不満そうな目でこちらを見つめると自ら腰を動かし始めた。

「はぁんっ、あっ、ああん」淫らに喘ぐ甘ったるい声に脳が痺れる。腰の動きに合わせて乳房が揺れる光景は、とても淫靡だ。五感から絶えず送り込まれる刺激が欲望を掻き立て、俺がたまらず再び腰を激しく動かした。
 やがて彼女の膣内が一層強く締まるのを感じ、そして次の瞬間、俺は三度目の射精を迎える。彼女が身体を震わせると同時に俺のモノを搾り取るように膣内が痙攣した。そのまま彼女の上に倒れ込み、しばらく繋がったまま余韻に浸った。

 体力にはそれなりに自信があったがさすがに三連戦は堪えた。しかし貴子さんはまだ余裕があるらしく、妖艶な笑みを浮かべている。
「お疲れ様、美味しい料理を作るから、たくさん食べてね」と彼女は悪戯っぽく微笑んでいた。その表情にドキリとしたが、同時に期待も高まる。きっと今夜は長い夜になるだろう。そう思いながら俺たちは再び唇を重ねるのだった。

◆◆◆

 その日を境に俺たちの関係は、同じ趣味を持つ年の離れた知人から、肉体関係を持つ年の離れた女と男に変わった。貴子さんは出会い系で出会った年下の男との逢瀬に耽る淫乱な女であり、そして俺はそんな成熟した女性の身体に溺れる男だ。

 貴子さんとの出会いは俺の価値観に変化をもたらした。彼女との交わりで得られる、肉体の快楽はもちろん精神的な充足感も、これまでの人生で知らなかったものだ。陰茎への舌の這わせ方ひとつとっても若い女とは違う。非常に貪欲なのに手心もあって、なんだか愛でられ鑑賞されているような気持ちにすらなる。彼女は陶酔したような表情で射精を口内で受け止めると、それを当然のように飲み干した。

 俺にとって彼女の存在は特別なものになっていた。いや、もしかすると本当は最初から惹かれていたのかもしれない。だが歳の差や経済力、立場の違いから無意識に遠慮していたのだろう。だからこそ彼女の別荘を訪れた時に俺は理性を失った。彼女は別荘という非日常的な空間で、それぞれの役柄を決めたのだ。

「ねぇ、ベッドに行きましょう」と誘う彼女の言葉に俺は素直に応じる。
 この別荘は彼女のプライベートなものなのか寝室は一つしかない。そこにダブルサイズの大きなベッドがあるだけだ。
 貴子さんは俺の手を引いてベッドに横たわった。俺は彼女に覆い被さりキスをする。舌を差し入れると彼女もそれに応えて絡めてくる。そのまま俺たちは何度も角度を変えながら口づけを繰り返した。やがて呼吸が苦しくなり唇を離すと唾液が糸を引いた。
「……もう我慢できないわ」と貴子さんは物欲しげな表情で訴えてくる。俺は彼女の髪を撫でながら「何がしたいんですか?」と聞く。彼女は恥ずかしそうに目を伏せると「おまんこにあなたのおちんぽが欲しいの……」と言う。

 還暦を越え閉経した既婚女性と快楽を求め合うことに、不思議な充足感と一体感を覚える。それはきっとこの交わりが生殖とはまったく別の場所にあるからだ。俺と貴子さんは子供を作るわけでもなく、雄と雌のつがいが関係を強化するためでもなく、快楽のためにセックスをしている。冷静に考えればそれは体力を消耗し寿命を縮めるだけの無駄なセックスだ。だからこそ没頭できる。

 彼女は更なる快感を求めて淫らに、どこまでも貪欲に腰を振り続ける。俺もまたその動きに合わせて激しく腰を打ち付ける。彼女の唇から唾液がこぼれ、「イクイクイクっ! いくっ、いっちゃううぅぅ!」と獣じみた嬌声が上がる。絶頂を迎えた孕まない女体に、俺はありったけの精を吐き出した。


(終)