路面電車で出会った女性との、白昼夢のような日々に迷い込んでいる(2)

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 駅前のカフェは休日の午後だというのに、それほど混雑していなかった。  僕と彼女は窓際のテーブルに向かい合い座り、コーヒーとケーキを注文する。彼女はホット、僕はアイスだった。 「あの……」  僕は彼女に話しかけようとして言葉に詰まった。何を話していいのかわからないのだ。  話題に窮した僕に、彼女は小首を傾げる。その仕草がとても可愛らしかったので、思わず見惚れてしまい言葉を忘れた。そしてそんな自分がい...

路面電車で出会った女性との、白昼夢のような日々に迷い込んでいる(1)

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 息をのむような、という表現がある。英語でも”breathtaking”という単語が似たような意味らしい。ということは思いもよらぬ事態に直面したとき、ふいに呼吸を忘れてしまうのは、広く普遍的な反応であるようだ。  大学を卒業してすぐの頃、僕は路面電車の車内で、息をのむような美しい女性に出会った。  午後の光が彼女のきめ細かな白い肌を照らしていた。年齢はおそらく20代から30代だろう。生活感が希薄でどんな人物なのか想...

休日の駐車場で一目惚れした熟女と(6)

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 麗子さんに別れを告げられてから数年が経った。俺は大学を卒業し外資系の企業に就職している。麗子さんの公私の支えになろうと、学生時代に熱心に勉強していた語学力が活かされた結果だった。  彼女とはあれから会えなくなった。メッセージアプリも繋がらなくなったし住所もおそらく変わっているだろう。それでも彼女との経験が、今の俺へと成長させてくれたことを考えると、麗子さんには感謝してもしきれない。彼女以上の女性...

休日の駐車場で一目惚れした熟女と(5)

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 麗子さんとの関係が始まってから数ヶ月が経ち、季節はすっかり夏になっていた。彼女との関係は変わらず続いている。だが俺の懸念も焦燥も、問題は何も本質的には解消していない。俺はメッセージアプリを起動して彼女が送信したメッセージを遡る。 『良太くん……今日はありがとう。あなたの気持ちは本当に嬉しかった。だから私も、あなたに幸せになって欲しいと思うの。自分のせいであなたが不幸になるのは耐えられない』 『もし...

休日の駐車場で一目惚れした熟女と(4)

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 付き合い始めてから解ったのだが、麗子さんは意外と古風なところのある女性だった。 亡くなった旦那さんと俺以外には本当に男性経験はないらしい。そしてその旦那さんも歳が離れていたらしく、色々と仕込まれはしたものの直接的な挿入はあまり多くなかったそうだ。マッチングアプリも遊び相手ではなく本気でパートナーを探す目的で始めたとのことだ。 初対面での強烈な印象があったので、彼女の発言はとても意外だった。 「な...